早稲田大学国際教養学部生のGlider Life

カリフォルニア大学アーバイン校に留学中の、早稲田大学国際教養学部2年生。大学から始めたグライダーに魅了され、これから世界各地を飛び回ることを夢見る早大生のブログ。

グライダー オーストラリア遠征 No2 準備編

こんにちは。昨日に続き大学の冬休み期間中に訪れたオーストラリアでのグライダーライフについて書いていきます。

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Gliding Club of Victoria の大きな格納庫


1、オーストラリアに行こうと決めた時期

8月3日から9月10日までFAA glider private pilot license取得のためにフロリダのSeminole Lake Glider Port

http://www.soarfl.com/

に滞在しておりました。ここでは日本人の教官にお世話になり、非常に充実した指導を受けることができました。フロリダでのフライトについてはまた今度、詳しく書いて行くことにします。

8月31日に実地試験とオーラル試験を受けて無事自家用操縦士になることができました。そして留学が始まるので、カリフォルニアにきたわけですが、毎日フロリダで飛んでいたので、留学が始まってからは次はどこで飛ぼうかずっと考えておりました。選択肢としては、日本に帰国してからのことも考慮してウインチのトレーニングを受けるか、遥か彼方のオーストラリアに行くか迷っていました。そんな時に、ある方からのアドバイスによりオーストラリアに行きたいという気持ちが強くなりました。

 

結果的に10月上旬にはGliding Club of Victoriaにコンタクトを取り、SZD51JuniorとLS4-aの機体の予約をすることができました。海外でフライトをする際には、グライダークラブにメールを送ることになると思いますが、諦めずに何回かメールを送った方が良いかもしれません。このGliding Club of Victoriaはメールの返信が非常に早く特に問題にはなりませんでしたが、春休みにフライト予定のアメリカニューメキシコ州のMoriartyというところのグライダークラブ(Sundance Aviation)は3回メールを送っても返信がありませんでした。諦めず、さらにメールを送りなんとか2月下旬に連絡が取れ、単座機(LS4)を借りることができました。Moriartyでのフライトが楽しみです。

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お世話になったJunior VH-XOB

 

2、滑空場の選択

参考程度に視野に入れて考えていた世界の滑空場を載せておきます。

アメリカ

Seminole Lake Glider Port in Florida

Warner Springs Glider Port in Southern California

Minden Tahoe Airport in Nevada

Williams Soaring Center in Northern California

オーストラリア

Waikerie in Australia

Lake Keepit Gliding Club

Narromine in Australia

Tocumwal in Australia

イギリス

Lasham Glider Port in the United Kingdom

 

飛ぶ場所を選んだ際には、単座機の種類、借用条件、借用費用、曳航料金、ソアリング環境を考慮して考えました。また毎日訪問先の滑空場がオペレーションをしていなければもったいないので、営業日にも注意しました。

 

結果的にAustralia, Benalla AirportにあるGliding Club of Victoriaにしたわけですが、機体借用費用が圧倒的に安いこと、毎日オペレーションしていることが決めてになりました。

 

3、Gliding Club of Victoriaの1日

基本的には毎日9時からクラブハウスにてweather briefing が行われます。オーストラリアにきて、最初に驚いたのがこのweather brifingです。Sky Sight などの気象ソフトを用いて解説が行われるわけですが、いきなりTopが10000feet以上になると聞いて、胸の高まりを抑えることができず、自然と笑顔になります。

 

妻沼だと空域の制限などもありサーマルトップが3000feetであれば訓練条件としては十分です。またフロリダのSeminole Lake Glider Portであれば毎日ソアラブルな条件となり、サーマルトップはだいたい4000feetぐらいの日がほぼ毎日続きます。

これまでに比べるとこのオーストラリアのベナラの環境は別格であることが明らかになります。また、ベナラの北東に位置し、多くの日本人学生が行くナロマインはさらにサーマルトップが高く、素晴らしい積雲の世界が待っております。

 

天気の流れを見て、その日どのようなタスクを飛ぶか提案されるわけですが、多くのクロスカントリーパイロットが連日500km以上のタスクを設定しているのを見て、自分の視野の狭さに気づかされました。曳航機パイロットに離陸時間を伝え、多くのパイロットは12時前後に出発してビッグタスクに挑んで行きます。12時前後は20機近くの機体がガグルを組んで上がっていくので、他のパイロットの邪魔にならないようにSZD51 Juniorで食料、ドリンク、GPSの準備をして最後に離陸して行きました。

 

離陸後はパイロットの判断で良いサーマルを見つけ次第いつでも離脱することができます。エアボーン直後から、今までに経験したことのないほど強烈なサーマルにあたり、水バラストを搭載していないJuniorはみるみるうちに高度が上がってきます。この瞬間から、気分は最高潮です。通常2500feet程度で離脱してセンタリングしてソアリングしていくわけですが、オーストラリアのサーマルには感動の連続です。

 

体力と集中力が持つ限り、ひたすらセンタリングの練習をしていました。初めてJuniorに搭乗した時は、時が経過するのも忘れ着陸した時間を確認すると5時間57分が経過していました。

 

その後は、機体を格納庫に入れ、清掃をしてクラブハウスに戻り夕食を食べるのが日常でした。夕食を食べながら、他のベテランパイロットの方々とその日のログを見ていろいろな話をして盛り上がりました。特に、彼らのサーマルの選択クルーズ速度は信じられいほどです。これから生涯をかけてクルーズ速度とクライムレートを磨いて行くことになります。

 

夜のベナラは何にもないので、満点の星空が広がり、まさに自然の壮大さを感じて1日が終わります。今でも忘れられません。これからも通うこと間違いありません。

 

 

4、Gliding Club of Victoriaについて

このクラブはNarromineTocumwalなどとはオペレーションが少々異なります。基本的に11月上旬から3月終わり頃まではオーストラリアのグライダーシーズンです。Benallaはほとんどのパイロットは地元の人で、それぞれが自慢の愛機を所有しています。そのため、平日はクラブの機体がほぼ空いており、事前に予約すれば借用することができます。また週末は、日本の航空部のように、地元のユースパイロット向けのソロに向けたトレーニングコースが設置されております。したがって、20歳以下のパイロットがソロに向けて訓練フライトをしています。平日と週末の運営形態が若干異なるのが特徴です

 

クロスカントリーパイロットの中には、毎年イギリスから6機のグライダーコンテナに入れてベナラに持ってきているパイロットもいました。

ベナラのクロスカントリーパイロットの方々には、機材の面(GPS, See You)や、クルーズ速度の選択の仕方などこれから役に立つような知識をたくさん教えていただきました。ある程度の英語力がある日本人学生なら思い切って一人でも行ってみると良いかもしれませんきっとベナラの最高な環境がやみつきになってしまうと思います。

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最後に乗った LS4-a

 

5、オーストラリアで飛ぶための手続き

オーストラリアに大学生が行くとしたら、おそらくFAI国際滑空記章の挑戦がほとんどであると思います。記章トライの際にはGFA(Gliding Federation of Australia)メンバー登録が必要になってきます。GFAのサイトから有料ではありますが、簡単に登録することができ、すぐ会員番号が発行されます。出発前に登録を済ませておくことをおすすめします。以下のサイトから登録することができます。

http://www.admin.glidingaustralia.org/index.php?option=com_chronoforms5&chronoform=NewMember6D

 

 

オーストラリアでの話はまだまだたくさんあるのでこれから数回書いて行こうと思います。それでは。

 

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Junior 5時間トライ

 

 

 

グライダー オーストラリア遠征 No1

 

こんにちは。はじめまして。現在早稲田大学国際教養学部2年生で、カリフォルニア大学アーバイン校に留学しています、HIKARUです。よろしくお願いいたします。

 

ということで、このブログでは主にグライダー(Glider/ Sailplane)について書いて行こうと思います。留学中ということで、少し時間に余裕があるので、これまでアメリカやオーストラリアで飛んだ経験を基に少、日本の航空部の大学生や、グライダーに興味がある人向けに更新していこうと思いますので、暇なときにでも読んでください。

 

 

さて、第1回目の記事ということで、大学の冬休み期間中に訪れたオーストラリアでのフライトについて書いていきます。目的は、FAI国際滑空記章 銀章トライです。3週間の滞在期間の中で、5時間滞空50km距離飛行獲得高度1000mを達成する必要がありました。結果的に達成することができました。役に立てるように細かく書いていくので、これからオーストラリアでのフライトを考えている人の参考になればと思います。

 

12月15日から1月7日までは大学の冬休みでした。12月15日金曜日にlinguististcsの期末テストが3時まであり、そのあと急いで準備をしてロサンゼルス国際空港(Los Angeles International Airport)に向かいました。22時35分LAX発 United Airlineのオーストラリア、メルボルン行きを利用しました。16時間のフライトを経て、12月17日午前11時にMelborneに到着いたしました。

 

今回のフライト先として選んだのはオーストラリアのヴィクトリア州に位置するベナラ滑空場(Benalla Airport)です。このベナラという地はメルボルンから電車で3時間程で、小さな街です。メルボルン空港から市内を走っている、バス20ドル程度に20分乗りSouthern Cross Stationに向かいました。この駅はメルボルンの中心的な駅で多くの人で賑わっていました。私はSky Busと電車を使ってベナラに行きました。以下が電車とバスのサイトです。

SkyBus - Southern Cross Station

 

ここで注意しておきたいことは、週末の場合はSouthern Cross Station からベナラまでの列車が1日に2本しかないということです。12時の電車に乗る予定でしたが、空港の税関を通過するのに予想以上の時間を要してしまい、逃してしまいました。結果的に6時の電車に乗ることになったのですが、エンジントラブルなどからさらに1時間遅延し、ベナラに到着したのは11時過ぎでした。今度行きたいと思っている人は、余裕のある計画が大事です。

 

私は、190cmと身長が高いのにも関わらず、エコノミークラスで16時間のフライトを耐え、さらに電車が遅延していたので、かなり疲れていました。

 

しかし、たまたま乗った電車でベナラでのグライダー生活の頼りとなる、スイス人パイロットと出会いました。彼は、スイスで院を卒業したあと就職してからグライダーを始め、グライダーの素晴らしさに気がつき、今は飛びまくっているみたいです。電車の中でBenalla Airport の運行要領などを確認し、ベナラで使用予定だったLS4-aの機体特性などを教えてもらい充実した時間を過ごせました。

 

無事にベナラの駅に到着したはいいものの、時刻は11時を過ぎ、あたりは灯りもほとんどなく、満点の星空が広がっていました。ここで、スイス人パイロットは自転車を持っていたので先に行ってるよといい、私は暗闇の中一人になってしまいました。

 

simカードも持っていなかったので、ネットが使えず、感覚でBenalla Airportを目指しました。しかし、なかなか目的地には辿りつかず、結局到着したのは2時過ぎでした。

ただ、宿舎の鍵を見つけることができず、この夜は、スイス人パイロットのテントで夜が明けるのを待ちました。

 

 

無事に夜が明けました。今回お世話になったのはGliding Club of Victoria という世界でも有数のグライダークラブです。今年のGlider Online Contestを参照しても、グライダー聖地とも言われるNarromineと並ぶクロスカントリーが盛んな場所です。

http://www.glidingclub.org.au/

ある程度の英語能力があるのならば、大学航空部の人にはここをおすすめします。ここ以外のオーストラリアの滑空場には行ったことはありませんが、Webページなどを見て比較すると、機体の借用費用、機体のラインナップ、宿泊費用、周りの環境を考慮してもおそらく、大学生に最適な環境であるのではと思います。

 

Gliding Club of Victoriaは機体の借用費用が、多くの日本人が行くTocumwalやNarromineと比べて圧倒的に安いです。これは、大学生にとっても大きなメリットではないでしょうか?機体のラインナップと1日の機体借用費用は

LS4-a 2機➡︎148ドル

LS7➡︎148ドル

LS3➡︎148ドル

SZD-51 Junior➡︎100ドル

ASK21 2機➡︎186ドル

TWIN2➡︎186ドル

Duo Discuss➡︎320ドル

以上になっています。詳しくはこちら

http://www.glidingclub.org.au/Documents/GCV%20SOC%202017-2018.pdf

おそらく大学生はLS4やJuniorなどを借りることが多いので、曳航料金を含めても2万円以内になります。日本での航空部での訓練とは違い、1日時間制限なく好きなだけ飛ぶことができるので、費用対効果を考えると他のオーストラリアのクラブより圧倒的に安いと思います。体力と集中力があれば通常、気温が上がるのを待ち、12時くらいに離陸し、7時くらいまで飛ぶことができます。

また、Gliding Club of Victoriaには常に30人程度のクロスカントリーパイロットがいますが、ほぼ全員がASG29E, Ventus, Nimbus, Discuss, Libelle, LSなどを所有しているため、ほとんどのクラブの機体の予約は空いているので、3週間ずっと機体を借りることができ、フライトに専念することができました。

 

加えて、ユース会員になってしまえば、複座でトレーニングする際にも、素晴らしいクロスカントリーパイロット達から、インストラクター費用は0円で、クロスカントリーの指導をDuo Discuss で受けることができます。他のクラブの場合、世界中のパイロット向けの商業的なオペレーションをしているので、機体借用費用が1日スタンダード機の場合2万円以上かかり、曳航料金が6000円程度、さらにインストラクター費用が1時間7000円程度かかります。

仮にDuo Discuss で4時間のクロスカントリーにいく場合は機体費用が3万程度かかり、全て合わせると6万4000円程度かかることになり、いくらグライダーが好きな大学生でも現実的な金額ではありません。

 

それに比べて、Gliding Club of Victoriaは費用の面でとても親切で、周りのクロスカントリーパイロットの人々とコミュニケーションを図れば、グライダーの知識や、GPSやフライトの分析に関して丁寧に教えてくれます。夜もクラブハウスで美味しい夕食が提供されるので、日本より快適に過ごすことができます。

 

また、FAI国際滑空記章にトライする際にも、親切な公式立会人のパイロットがいるので、問題なく行うことができます。

 

今後オーストラリアに行こうと考えている人はぜひNarromineだけではなく、ベナラ(Gliding Club of Victoria)も視野に入れて見ると良いと思います。

 

次回は、ベナラでの日々のグライダー生活について書いて行こうと思います。ではまた。

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曳航待ちの列

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上空8000feetからのオーストラリア

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