FAA Private Pilot Glider License JCAB書き換え申請までのプロセス
日本もいよいよソアリングシーズンがやってきました。大学で航空部に入部し早くライセンスを取得したいと考えている人はかなりいると思います。その時に、日本の大学によっては天候や部員の数などの関係で、航空部と名乗っているのにも関わらず十分にフライト時間を確保できていない人も多くいると思います。
グライダーが本当に好きな人であるならば、ライセンスを早く取得して、一人で翔びたいと願う人がいるはずです。短期間で、ライセンスを取得するとなると思う浮かぶのがアメリカではないでしょうか。
今回は、これからアメリカなどでPrivate Pilot Gliderのライセンス取得を考えている人のために、渡米前に準備しておくべきもの、JCABライセンスへの書き換えの手順などについて、経験を踏まえた上で書いて行こうと思います。
アメリカでライセンスを取得してから、JCABライセンスを手にするまでには最短で4ヶ月程度はかかります。過去にアメリカでライセンスを取得した先輩方はこれ以上の期間がかかっていました。
概要
渡米前にすること
- 自家用操縦士学科試験を受験(法規のみ合格してれば良い)
- Flight Schoolを決め、Instructorに連絡
- IACRA申請、Instructorから申請許可をもらう(https://iacra.faa.gov/IACRA/Default.aspx)
- 航空特殊無線技士取得
- Amazon で必要教材を購入し、Written Examのために勉強を進める
- ライセンス書き換え用の書類を鳳文書店(http://www.hobun-books.com/)
で購入(アメリカライセンス書き換えセット・滑空機の航空経歴書が必要)
訓練開始後
- 初ソロ出て、JCABライセンスの基準を基ににソロをためる
- Written Examを受験し、合格(受験のためにはInstructorからのendorsementが必要)
- Check Rideに向けて、Instructorと最低3回のFlight Training
- Check Rideの日程が決まり、IACRAのサイトから申請を行う
- Oral Exam(1-2時間程度)、Check Ride 3発
- 合格したら、その場でTemporary License 発行(アメリカでは試験合格後からすぐに飛行可能
- 試験合格後、2〜3ヶ月後自宅にライセンスが到着
- JCAB ライセンス書き換え書類を記入し、航空局へ提出(Temporary licenseでは申請不可)
- 航空局へ書類を提出後、1〜2ヶ月で自宅へ交付書到着
- 申請料金を振込み、1ヶ月程度でライセンス現物到着
- JCAB ライセンス到着後、航空身体検査を受診
- 航空身体検査合格後、日本で飛行可能
1、自家用操縦士学科試験(法規のみで可)合格
アメリカに渡米する前に、学科試験(法規のみ合格)に合格していることでJCAB
ライセンス書き換えに無駄な時間がかかりません。必須ではありませんが、合格しておくことをおすすめします。
2、Flight School を決める
早めにSoaring Society of America(https://www.ssa.org/)のサイトなどを参考にして、どこで、どれくらいの期間でライセンスをとるのか計画をしましょう。
About Soaring→New To Soaring→Where To Flyの順にクリックするとアメリカ全ての滑空場、並びにフライトクラブが出てきます。これを見る時には、機体の種類、価格、営業日、commercial operation(visitor用の運営、基本的に料金は高い)をやっているのか確認する必要があります。
commercial operationをやっていないクラブでは短期間でライセンスを取得することはできません。基本的には、地元の方々が週末にフライトをしており、年会費と入会金を納めれば会員になることができます。留学などで1年間アメリカにいることができるならば、ユース会員として日本の指定養成程度の金額でライセンスを取得することができます。基本的には21歳以下の学生のためにの優遇制度があるところが多く、曳航料金と年会費だけ払えば良いクラブが多いため、機体費用やinstructor費用がかかりません。
また、アメリカで国際滑空記章などにトライするためには、SSAの会員である必要があるので、SSAのサイトから事前に登録をします。基本的にweb上かメールをで登録することができ、22歳以下なら年会費40ドルです。メンバーになると、毎月グライダーの雑誌がアメリカから送られてきて、技術的なことから、滑空場の近況報告などの情報が盛りだくさんです。非常に充実した雑誌なので、アメリカに行く予定がない人も会員になると有益な情報が手に入ると思います。
また、オーストラリアで国際滑空記章の銀章にトライする際にもGliding Federation of Australiaの会員になる必要があり、簡単にサイトから登録ができます。すぐに会員番号が発行されます。加えて、銀章を日本航空協会に提出する場合は、日本滑空記章の銅章が必須です。(ずっと日本で飛んでいる場合は当たり前のことなので気にする必要なし)もし、オーストラリアで銀章に挑戦するならば、事前に銅章を所持しておいてください。私の場合はアメリカで夏にライセンスを取得し、冬にオーストラリアへ銀章達成のために行きました。その時に、日本滑空記章、A/B/C/銅章を所持していなかったため、申請に4ヶ月かかり、無事今日認定されました。事前に、国際滑空記章の規定も確認し挑戦しましたが、2月に新橋の日本航空協会を訪問したところ、日本滑空記章の銅章が必要との指摘を受けました。これから挑戦する人は注意してください。
3、IACRA申請
IACRAを申請する目的は、日本で言う練習許可書を手に入れるためです。サイトからPrivate Pilot Gliderの申請を行い、現地のInstructorから許可が降りると発行されます。もしこれが発行されていないとアメリカでソロフライトに出ることができません。訓練開始の3ヶ月前にはInstructorに連絡を入れてください。私の場合は発行までに3ヶ月程度かかりました。もし申請が遅れて、カードの現物が届かない場合でも、サイトからダウンロードできる紙のものでソロフライトに出ることも可能です。早めの準備を。
4、航空特殊無線技士取得
もし、航空部2年生ならばすでに取得済みだとは思いますが、日本に帰国後ソロフライトをするためにはこの資格が必要です。アメリカでは、private pilot glider certificateに無線資格が含まれています。FloridaのSeminole Lake GliderportのBlanik,
Grobには無線はありませんでした。しかし、先日訪問した、Moriarty Airportでは陸上単発機の訓練も行われていたためradio communicationが必要でした。ライセンス取得する際には、ATC communiationの勉強も行います。
5、Written Examの勉強をすること
アメリカにも、日本の学科試験と同様のものがあり、一通りの座学を終えるとInstructorからendorsementをもらうことができます。近くの空港などでWritten Examを受験することが多いです。渡米前にAmazonで教材を購入し90%以上確実に取れるようにしておきましょう。訓練開始後は、基本的な知識がないと、アメリカで訓練してもトレーニング期間が長くなる可能性が高くなります。ぜひ、他のことに集中するために着実に勉強を進めておきましょう。アメリカで短期間でライセンスを取得することは、日本と求められている量は変わりません。1ヶ月程度でライセンスをとるには朝から晩までグライダーのことを考える必要があり、勉強しなくても簡単に取れるという安易な思い込みでアメリカに行くことはやめた方が良いと思います。おそらくすぐに訓練をやめることになると思います。
Written Exam の問題集は以下のリンクから購入することができます。
この他にも、必要な教材があるので、訓練開始後のことも含めて、後日紹介したいと思います。